第125章 名を名乗る

橘結衣はうつむき、手のひらをぎゅっと握りしめた。

今回、田村良樹が偶然ここに現れたのは――まさか。

そう考えた矢先、黒服の男たちの足音が、どんどん近づいてくる。

……やっぱり。

先頭の男が彼女たちのテーブルまで来ると、居合わせた少女たちを順に見渡し、低い声で問いかけた。

「赤崎柚奈は、どいつだ」

橘結衣はその視線を受け止め、眉間をきゅっと寄せる。

彼女は腹を押さえながら立ち上がり、いかにも辛そうな顔を作った。

南川萌々香が異変に気づく。

「結衣? どうしたの?」

「ちょっとお腹が……トイレ行ってくる」

黒服の男たちの視線が、一斉に橘結衣へ集まった。

橘結衣は赤崎柚奈の...

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